戻らない一時。

メンソールの煙草の味になれた頃、SOHOのお仕事10個こなしていた。2時間あまり。今夜はこれが限度。根性なし、と自分にはきかけながら、詩もどきを書いていた。

夕暮れ、ふと思い出していた。自分から別れてしまう行動にでてしまったことを悔やみ、哀しくなっていった。まだ、好きなのだ。かなり年上の人なのに、子供のように単純で、でも下手に男社会を生きてきた人でもなく、上に立つような人でありながら、騙されやすい人でもあった。どんな言い方をしても結局は、まだ好きなのだ。心の中から消えやしない。でももう会うことができない。それが哀しい。近寄るすべがないのが哀しい。

まだ、片思いをしているのだ。未練たらたらなのだ。だから、何気ないことで思い出してしまう。無性に会いたいと思ってしまう。会えないひとだから、会いたいのだ。秋の山の葉がだんだんに色づくように、だんだんに近づけたらいいのに。そして散ってしまってもいいのに。今年の秋だけでもいいのに。来年からの秋にはないことでもいいのに。

もう一度会えたなら、謝りたい。よりを戻すためではなくて。ありがとうを言いたい。感謝だけの気持ちじゃなくて。いろんな思いがあって。いつか会えるときがくるのだろうか。こないとわかっていながら、否定したくて。もしかしたらという希望を持ちたくて。また、思い出していたのは、年甲斐もなく可愛い笑顔だった。
その笑顔を見るたびに、わたしはこの人に惚れていると感じていた。幸せな一時だった。もう戻らない一時だった。会いたい。